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「僕は親が不仲だったんだ」夏に出会った男はそう言った

わたしは河へ向かって石を投げた 丸くて平べったい石は水の上を2回跳ねてから沈んだ

「だから早く家を出て新しい家庭をつくりたかった」

 夕焼けが家屋の間を沈んでゆく 少し風も出てきたようだ

あたりにはもう投げやすい石は落ちていなかった

「じゃあなんで家に帰らないの」

「疲れてるんだ」

 

わたしはもう心底うんざりしていた 正直なところ彼が本音を話そうと話すまいとどうでも良かったし 肌寒くなってきた今では河べりから離れたかった

 

「はやく帰って寝た方がいいよ」

男が背後から覆いかぶさるように抱き着いてきたので そのままするりと腕を抜けてのり面へと駆け上がった 男は呆気にとられたような表情でこちらを見ている

「わたしもう帰る 明日1限から授業あるし宿題しなきゃ」

「駅まで送るよ」

 

こんなつまらないゲームを何度繰り返すんだろう どの選択肢を選んでもバッドエンドになるなんて