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むかし 友達とふたりで白い壁沿いの道を歩いていたとき ふいに門扉が現れ (ふいに というのは本当はおかしい その壁も入口も少なくとも100年以上前からあるのだから) なかには銀杏並木と一面金色に光り輝く落ち葉で埋め尽くされた砂利道がひろがっていた 底冷えの街を照らす午後の陽射しのしたで なにもかもが震えるように煌めいていた

わたしたちは息をのんで 呆然と立ち尽くしたまま そこへ足を踏み入れることは出来なかった もう二度とこちら側の世界へ戻れなくなるような気がしたからだ そんな馬鹿なことがあるはずはないのに それほどに美しかったのだ

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