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初めてキスをした夜 雪が舞う鄙びた駅のホームで恋に落ちて以来 心は犬釘でしっかりと打ち付けられたレールのように動くこともない そのことをあのひとは知らないし 望んでもいない

 

暗闇のなかで目が覚めて 部屋に誰もいないことを確認した 二重硝子の窓はきっちりと閉じられ  月の出ない空は漆黒の闇をもたらす わたしはあのひとにとって誠実であれたのだろうか? 愛するためについた嘘の数々を忘れる日は来るのだろうか