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雪のなかニルゲンドヴォの奥地へゆく バプチャは「眼が悪くなったから」と言ってもう編み物をやめてしまっていた

墓地は雪が積もったまま何日も溶けず またそこへ雪が降るので 石碑も花も供物もなにもかもが埋まっている 当分そのままだろう なにせ家のまえの道だけでも退けるのに骨が折れるのだ こういうときこそスキーや橇が役に立つのだろうけど 出来れば家から出ないのが一番である