1212

なるべく思い出さないようにしてきたけれど 人生のうちでほんの数日しか共に時間を過ごしていない男に対して これほど激しい感情をもつのは偶像崇拝とか信仰とかにちかいものがあって 恐らく いや間違いなく 彼と1週間も一緒に暮らせば充分満足する というか嫌になるだろう 彼は教祖や生き神ではなく 生身の人間であり 企業に属して働くことを望まず 健康かつ精神的に自由であり あまり誠実ではない部類に入る若い男なので

わたしはきっとうんざりする どれだけ愛しても応えてはくれないことに 彼のために浪費し 消耗することに感謝することはおろか 何の感情も抱かれないだろうことに それが恋ならばなんと愚かな病なのだろう