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絡まった髪をほどいて

 

それは愛でした

 

 

M河沿いの安ホテルに宿を取った 階段しかないビルの5階からは三角州が遙か遠くに見える 寝台とちいさなテーブルが一台あるだけのちいさな部屋は壁の漆喰が剥がれかけているし 申し訳程度にある洗面台の鏡はあちこち錆びて曇っている それでも白いシーツのうえに寝転がっていると心が安らいだ 冷房は効いていないのか 故障しているのか とても蒸し暑い 窓を開けると生温い風