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紛い物の高級時計を売っていた店はもう無かった 両隣の店を区切っていた壁とシャッターも外され 棚や什器がない床は広く 紙屑や大きな玉埃が転がりそれは もう店が片付けられてから既にかなりの年月が過ぎていることを示していた とはいえ電池交換は頼んだことがあっても 一度も買ったことはなかった