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通り過ぎてゆく知らない街の駅名を横目に 一度も降りようとはしなかった 空調がやたらと強いのに 西陽がさすもんだからじりじりと焼けるように熱くて どうにも不便だった 隣に座った中国人の男たちは息を吐く間も無く話し続けていたが 旅行鞄を携え短い名前の駅で降りて行った 宿など無さそうな辺鄙な町に見えたけれど 海沿いに歩いてゆけばなにかあるのかもしれない わたしは先ほど売店で買ってきた折詰弁当を少し早めの夕食に食べた 白米が乾いてぱさぱさしていたが悪くはなかった