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あの人に似た後ろ姿のひとを見かけて 少しだけ懐かしくなった いつも大きいリュックを背負っていて そのファスナーは特殊な縫製で防水機能がついていると言ってたっけな レジャーシートにタオル ティッシュ 保冷バッグのなかには冷えた飲み物 きちんと折りたたまれたスーパーの袋まで入っていたのを見つけて なんとなく嫌な奴だなと思った 彼はそんな几帳面な性格ではないのを知っていたので
わたしたちは ほぼ同じタイミングで秋が来た 楽しみにしていた映画を観終わって満足したように むしろ3年前に約束が果たされなかった日が 命日のようにやってくることの方がセンチメンタルなのだ