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いつだったかどこまでも広がるイルゲンドヴォの穀倉地帯を見に行きたいと言ったとき それって私たちが暮らすここにあるよねと屋根裏部屋から窓を開けて それなりに広がっている田園風景を見せてくれた彼女とは今も友達だけど 地平線まで続く穀倉地帯は見たことがない 南の国から来た旅好きの芸術家は 私たちが暮らす街のことを まるでイルゲンドヴォの美しい農村のようだと褒め讃えてくれて 悪い気はもちろんしなかったけれど それでもやっぱり違うものなのだ