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話すことがなくなってしまった午後 旧知の友人とベンチに座り ぼんやりと空を見上げて「なんだか老後みたいだね」と言った 老後なんてまだまだずっと先のことで くたばるまで働き続けなきゃいけないんだろうけど

いつかわたしや彼のこどもたちにまたこどもが産まれて そのこどもたちが大人になるころ わたしたちはもうこの世界にはいないだろう 或いは冷凍保存されることを希望しているかもしれないし 肉体の一部はまだ誰かの身体の中で働き続けているかもしれない  そう話してから 描いた絵がすっげぇ評価されてるかも でも出来れば今売れてぇよなぁと彼は言った その通り