1422

あのひとの顔を思い出すために写真を見ながら絵を描いた 北海の色に似た青い瞳 柔らかな亜麻色の髪 描きながら 抱きついて顔をうずめたとき首元から漂った香り -それは香水や汗の匂いではなく 嫌味のない洗剤の匂いだった-を思い出した 柔らかな冬の日差しの暖かさ 社交辞令ではなく 友愛の礼儀に則った抱擁の愛しさ 性愛抜きの接吻よりもずっとしあわせ 彼女にまたすぐ会えますように そして 顔を忘れなくて済むように 毎日一緒にいられますように