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きっと彼は来ない 砂埃と銃弾が舞う砂漠で虚しく倒れてしまったから 滲み出した重油が燃える海面で息絶えてしまったから 熱帯雨林の河川で鰐に襲われてしまったから 撃墜した戦闘機が砲弾ごと落ちてくる 鉄屑が雨霰と降ってくる 人が燃える 家が燃える 街が燃える 図書館も 学校も 公園も すべて瓦礫となって 彼とよく待ちあわせていた門も 街灯も もうどこにもない きっと彼は来ないし わたしもいけない もうだれもいない