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明け方に目醒めて祈ることは 割れたグラスが元に戻ることではなく 窓の隙間から吹き込む夏の森の匂いがする風や 揺れるレースのカーテン越しに射し込む 空の色を含んだ蒼白いひかりが 切り忘れたラジオから流れる 夭折した音楽家による協奏曲が ろくでなしではなく もう ひとでなしになってしまったあの人にも届くことで 解っているのは 幾ら贖ったとしても あの透き通った滑らかな器に 綺麗な花を生けたり 甘い炭酸水を入れたりした日々は 二度と来ないことだけ

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