Entries from 2016-08-01 to 1 month

564

忘れられないというよりもむしろまだ愛しているのだろう 絶対的支配力 何も語らない代わりに抱き締めてくれる安上がりな安堵感 欲しいものは何でもカードで買える 預金残高がある限り大丈夫 君の値段は幾らか教えてほしい 小切手を切ればいいの でも知ってる…

563

不変であることは叶わないのに わたしは何を望んでいるのだろう どうしてもっと 長期的な将来を描くことが出来ないのか人並みに生きていくのは 本当に大変なことで 社会に適応し辛い性分を 異端とは思わないが いかんせん生きづらい 当たり前に出来ることが …

562

毎日が夏休みだったころは 毎日が思春期と反抗期の繰り返しで どうにかして大人になりたかったのに 結局なにもしなかった 現実的な話をすると 職安へ失業保険の申請に行ったり 仕事を探す振りをしたり しなかったりした 働きたくないよりも 働けなくなってい…

561

波と太鼓 潮騒 砂浜のうえを裸足で 走りながら 沈んでしまった太陽の名残を惜しむように いつまでも 水のなかにいた 震え 歯を鳴らしながら それでもまだ 遊びたくて いつかの夏 わたしは一生分くらい泳いで 友達と一緒に小舟に乗りちいさな島へ行ったり 木…

560

l'été dernier.あなたを愛することが出来てよかった10日間の恋はしあわせだった夜の高瀬川が街灯で煌めくのは あまりにも美しくて泣きたかった 叶わないことも 叶わなかったことも 本当は知っていて それはある意味では絶望だというのに とても愛しくて あな…

559

日に日に弱ってゆく姿を見るのはつらい 花瓶に生けた花は 取り替えたら良いけれど あなたはあなただというのにわたしも あなたも 代わりなんか幾らでもいる 唯一無二の存在と言われる才能ですら 無ければ無いで 人々は新しい偶像をつくりあげて提供するのだ…

558

きみが好きなしゅわしゅわの飴があったと 深夜のメール を 見てまた眠る もう歯磨きを済ませたし ていうか 寝てたし でもそういうとこ わりと好きだし 次の日にちゃんと 幾つか手に握らせてくれるの やさしいから サイダーみたいに甘い 骨が溶けるっていうの…

557

川底を転がる石のように 何事もとどまっていることはないし 姿をかえてゆくので 今日が昨日よりも好い日であればいいと思う人生の 何処まで戻っても やり直したくはないというのは ある意味ではずっと幸福であったのだろう どのように生きることが 最善であ…

556

紅いアイシャドウを予約した どぎつくないボルドー ワインみたいな血の色 わたしはいつも顔色が悪い 眼の下にはいつもクマがあって それは本当は 骨の所為なのだけど 紅い色をさすだけで生きかえるのだから 容易いこと 瞼の紅は朝 目が覚めた時の感じに似て…

555

森の中を線路沿いに歩いたけれど死体は何処にもなかったし 川沿いは草が刈り取られて整備されていたので 新しい物語は生まれなかった 夏休みにわたしは部屋で映画を観た 消費されてゆく時間と ルートビアとポップコーンが わたしの胸を灼いて 結局ぜんぶ吐い…

554

清酒が流れる河のほとりへ来ている緑は鮮明にその色を讃え 樹々を彩り 鳥と蝉が合唱している山のなか 流れは激しく 冷たい去年の夏を思い出したり 忘れたりする うしろめたさがあることは 疚しい一方で 優しさがあるからだったのかもしれないと思う わたしは…

553

病院へ行き 美容院にも行った 暑さのせいでかなり参っている この夏も結局 日傘を買わなかった 代わりにシャツを2枚買った 鎖骨がきちんと見えるカーブのあるボートネック 白と黒を1枚ずつ好きなものを幾つも買ったり 予備を買い置きしたりするこはほとんど…

552

いつかまたあなたの声を聞けたら あなたに会えたら 何も言わないで 唇を塞いでしまいたい わたしはきっと気の利いたことを言えないから 何も言いません あなたの頸を締めたことごめんなさい 一瞬だけ殺してしまいたかった それがあなたのいう情念なのかもし…

551

明後日です。 夏のサタデーナイトを一緒に楽しみましょう。 エンドレス・サマー、狂っているのはわたしか、あなたか。 刮目せよ!白昼夢ではないのだ。 大阪 クレイジークレイジーワロタ@西天満MAGGY Open 18:00 / Start 18:30 charge ¥1,000 出演者: 川原…

550

透きとおったままで 深みまでゆけるから 何も恐れずに溺れることが出来る 明るさ ちいさな魚が足元を泳ぎ去る ほとんど奇跡みたいな島で かつて夏を共に過ごした恋人たちはみな泳ぎ方を知らなかった そもそも浴槽以外の水中に浸かったことすらないと言うので…

549

雨の都を 夜の街を 東へと歩いた 河は増水して濁流が闇の中で白っぽく濁っている 舟を漕ぐものは誰もいない 橋の上で見回りをしていた警官に訊ねたところ 見えなかったものの 火は無事に灯されたらしい その事実を知れて良かった 空からは見えただろう 精霊…

548

毎年この時期は 暑いので家にいるか 避暑へゆくかしていたのだけど ちょうど古本祭が催されているのを思い出し 足を運ぶことにした 以前から一度行きたかったのだけど すぐに忘れてしまうので思い立ったが吉日 雨上がりの杜は ぬかるみ 風が吹くたび 木々が…

547

告白しません 懺悔もしません だけどあの夏 言いつけを守り 家に帰ってしまったことを ほんとうは後悔していて わたしはあのまま夜の街から 彼とふたりで脱けだしたかった 愛しかった 長い髪も 穏やかな瞳も 大きな掌と意外に短い指も 甘ったるい声も なにも…

546

いびつなかたちのままで歳月が流れ ゆがみが真の姿となってしまった 氷を入れたグラスにヴォトカを注ぎ 薄く切った檸檬を浮かべたのを飲みながら 映画を観た 原作を読んだのは 18か19のときだったと思う なんだかよくわからないけれど 悲しくてきれいな話の…

545

すぐ近くにあの子の気配を感じる縁側の端 納屋の前に座って 干された下着をモビールのように 眺めている 花の刺繍がついたレースの下着 15歳で死んだあの子は つけたこともなかっただろう 90年代の田舎町で まだインターネットなんて無かった あの子はわたし…

544

知らない町へ行って 知らない人たちと 知らない海で遊んだ 知らない魚がたくさん泳いでいて 知らないなまえの料理を食べさせてもらった それらは少し焦げすぎていたけれど とても良い具合に調理され 噛むとくちのなかいっぱいに熱い汁が溢れた はるか昔 兄が…

543

野菜室のプルーンを忘れずに食べること 借りっぱなしの本を返すこと 休みのあいだ 1日1本映画を観られるだろうか ゴーストバスターズに入りたい チャーリーズエンジェルにも入れてほしい だって夏休みなのに 帰る田舎もない もらった水蜜桃を冷やしておく…

542

ある種の非現実性を求めているので 出来るだけ 美しい姿かたちをし 語り継がれやすいように 体裁良く話さなければならない 単なる歴史ではなく 神話でもあるのだ 現代 或いは20世紀の証人として 護られなければならない 壊されたり 汚されたりしないように

541

月を見るたび思い出すひとがいるし どの街角 どの高架下にも思い出があるし 歩いているだけで 悲しくなったり 嬉しくなったりする 骨までアルコール漬けになったような状態で彼らはどのように部屋へ戻って行ったのだろう 悪魔のいる交差点で立ち別れたら も…

540

不思議な鳥の声で目が覚めた 続いてエンマコオロギの鳴き声 新聞配達人が乗るバイクの音 油蟬 烏の声が羽音と共にだんだんと近づいて また遠ざかる カーテンを開けると 向かいにある教会の白壁が朝日で橙色になっていた顔を洗い 服を着替えて まだ涼しい村の…

539

檸檬 酸っぱくて 刻まれたり 搾ったり 乾かされたり 時には爆発もするらしいんだけど もうそれは伝説的で ある意味では歓迎されちゃうし 有名になりすぎちゃった感もある なんていうか 唐揚げには先に搾っちゃって欲しい 西瓜に塩はかけたくないけど 揚げ物…

538

舞台は1951年のサイゴンとあるので フランスから独立後でベトナム戦争がはじまる前のことだ歴史には疎いが 上流階級の家庭においては ヨーロッパ的な優美さと アジアらしいしなやかさが融合し 美しい時代だったかもしれない 映画自体は1993年にパリ郊外につ…

537

それから月日が流れて ひとが生まれたり 死んだり 失踪したりした 苦しみを堪えないでほしい 壊れるくらいなら 吐きだしてほしい なにもかもが どうせ変わってゆくのだから

536

蚊よけのお香と シルクプリントの葉書を買った 葉書は季節のものを常備しているのに 夏の絵柄というと一枚もないので なぜかしらと思いながら 10枚選んだが 今朝すべてに切手を貼り 投函してきたので 毎年余りが出ないのだと気付いた煙が細く立ちのぼり 除虫…

535

やぁ暑いね ほんまにねぇ もう8月だもんなぁ お盆は実家へ帰らはるの? そうだよ 実家は広島やったっけ ええ こっちとどっちが暑いん? いやぁここのがうんと暑いよ 意外やわぁ 風もあるし朝夕はだいぶ涼しいんだ ええなぁ 来週から休ませてもらうよ 楽しみ…