Entries from 2021-06-01 to 1 month

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水無月を買う 夏越しの払えの水無月を頂くため 某百貨店へ向かう 開店後では長蛇の列が出来るので 店が開くのを待って入り 速やかに目的の菓子屋へ行かねばならない この時期京都ならどこでも水無月が手に入るが Sの水無月となれば 他店よりも50円以上高い…

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寝ても覚めても雨 トタン屋根を打つ音が五月蝿くて 窓を閉めると今度は蒸し蒸しと暑くなってくる 黄ばんだ畳と湿気った布団 昼なのか もう夕方なのか 頭痛が治まらない

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書店である雑誌のバックナンバーを買おうと頼んだら 散々時間をかけて 取り扱い出来ませんと断られてしまった 在庫はあるようなのだけどなぁと思いつつも うちでは在庫が入手出来ないと言われたら仕方ない ただ 前にも予約しようとしたら 人気がある雑誌は取…

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住むために働きたくないけれど 住みたい場所で暮らすために働くのは なかなか良いんじゃないかと思った (問題はそういう街が少ないことだ)

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体感温度 香味野菜 性的嗜好 睡眠時間 金銭感覚 (順不同) もう二十年以上前から言われてきたことだけど 私は夏が駄目だし セロリが好きで 茗荷も大葉も生姜も大好きだけど 香菜は苦手 体温が高くて季節外れの半袖を着るくせに冷房に弱く ペットボトルは直…

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あなたはとうに約束を忘れてしまったので 今や果たされるときは来ないのです 決してもう ずっと永遠に わたしたちふたり共 約束を守れなかった 新しい約束をしましょうか? いいえ もう必要ではない わたしたちを結びつけておくものは何もない はじめからそ…

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こないだ買った黒い開襟シャツは 思いのほか着心地が良くて 色違いで白も買えば良かったなどと残念がったり いや 2枚もいらないか 白はお醤油が飛ぶと嫌だし と思ったり 白いシャツは漂白剤でなんとかなる それはわかっているのだけど 漂白剤で落ちるから …

1589

また器を買ってしまった 明らかに人数より多いの器が明日届く 靴をどんどん買うよりかは 家計を圧迫しないので良いかもしれないけれど 似たようなものではある しかし 孫の代まで履き潰したフェラガモのパンプスや エルメスのサンダルを遺すのはどうにも言い…

1588

昨日 ナツが家に来た 「ごめん 遅くに」そう言った彼女の姿は もう日が暮れて薄暗くなり ほとんど闇に溶け込んでいたかのようだった 門扉を挟んで「祝祭 出来なかった」小声で謝ると ナツは「仕方ないよ こんな時だもの」と応えた 泣いてはいないようだった…

1587

毎月家賃を払うなら いっそのことローンを組もうかと思ったのだけど 希望の条件を満たそうとすると そもそも無いし 妥協したら今度は買えるような値段じゃなくなってしまう それは仕方ないとして 家の近くには 整備された国有林と 賑わいのある商店街 ー新鮮…

1586

この電車に乗ったまま 何も考えずに時が過ぎるのを待てば やがて終点に着く 終点であり始発駅であるT駅のちかくで Nは働いている 一緒に働いていた時から 何をしているのかわからなかったけれど 今も何をしているのか知らない たぶん わたしは彼を忘れてゆ…

1585

思えばこの一月間は怠惰で おまけに痴情と性慾に爛れ 悲惨な時期であった 失うものばかり多くて 得るものはひとつもない 賢者は歴史に学び 愚者は経験に学ぶということを体感したようなものだ 自分が見聞きした 経験したことしか書けないなら 動詞の活用をひ…

1584

ハイスクールには2年弱しか通わなかった だから 倫理や物理を知らないし 微分積分もわからない 哲学の授業の代わりにはならないけど宗教の時間はあった 聖書を読んだあと 担当の先生が講話をしてくれたのだけど 覚えている話はふたつしかない ひとつは失恋…

1583

ハイヒールを履いた時に見える指の隙間が好きで ストッキングは大嫌いなのだけど 下品だと思うひともいることを知って驚いた ストッキングはともかく 甲が浅いのは指が長すぎるのではなくデザインの問題であって 良かれと思って作られているのだろうけれど …

1582

パリの春 という歌が好きだ 発表されてすぐの頃に 年老いた男女(恐らく夫婦だろう)が 台所でラジオから流れる曲に合わせて 丸テーブルの近くで楽しそうに踊る ミュージック・ビデオを観たのだけど もう探しても見つからない ドイツ人男性が 歌詞の途中で歌…

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背中を鞭で叩かれて 皮膚が裂ける痛みを知ってる? 寝台に縄で縛り付けられたまま一夜を過ごしたことはある? 私はある そして明け方に起こされて 縛られたまま 朝食を食べさせられた 美味しかったけれど 眠たかったのでまた寝てしまったら ひどく機嫌を損ね…

1580

生と死は対極にあるのではなく 死は生に包括されていると思う 死は生の一部であると 当然 一度でも死ねば 肉体的には滅んでしまう けれども その精神は生き続けるかもしれないし 忘れられるまで 誰かの心のなかで生き続けるのかもしれない そんなことどうだ…

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セックスした相手の記録を残している どうしてそうしたのか 恐らく妊娠や性病を不安に思ってのことが始まりだったのだけど 最終的にセックスに至らなかった男のことも書いてあった 出身地 生年月日 血液型 職業と当時の年齢 性交した日付 とくに面白みもない…

1578

「ヨソの女が作ったものを食べたくない」というような台詞を聞いたとき 今までもやもやしていた気持ちがはっと晴れたようだった 神経質な性格ではないはずなのだけど なんとなく決まりが悪いというか あまり気が乗らない 何も毒が盛られてるんじゃないかとか…

1577

穴を掘ってはまた埋めることを繰り返すだけの日々 彼は明日 収容所を出るだろう そしてもう二度と故郷へは戻らないだろう 妻が待つ部屋にも戻ることはないだろう

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書かれなくなったひとの 言葉を まだ求めることが出来る わたしのために書かれたものでないとしても それは彼自身の言葉だから 読めるだけで充分 どうせ理解など出来ることはないのだ みんな別の人格なのだから

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安定した生活と情緒がほしい 今日から始める 誰でも簡単健康生活 不眠症にさようなら らくらくストレッチ 心が落ち着くヨガタイム 背筋を伸ばして歩きましょう 手足の冷えには白湯を 煙草もお酒も必要ない 安定した未来がほしい 不整脈 不意に訪れる希死念慮…

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生まれたばかりの甥を抱いていたら「××ちゃんのママになっちゃったら?」と 無邪気な顔をしながら兄の娘が言った それは出来ないよ と返す 恐らく彼女はママを占領したいのだろう 寂しいのだろう 皆んなが帰ったあとで 机のうえを片付けていたら ちいさな羽…

1573

戯れに首をくくったことを話しても動じない 彼の心は石のように冷たくて 抱きあう内に温かくなる気がするのは 体温がうつっているだけのこと 部屋が片付かない 誰も来ない部屋が 明日には思い出せるでしょう ただ漠然と 当たり前の日々が実現することを信じ…

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性交と博打しか娯楽がない糞田舎は 本当に牛舎から牛の糞の臭いが漂ってくる 麦秋とは美しい季節だ 見渡す限り黄金色に実った麦畑が青空に映えて 聴こえてくるのは鳶と雲雀の歌声 陽射しは心地よく 時折風が肌を滑る 牛糞の臭いを漂わせながら すぅ と それ…

1571

「殺しましょうか?」 T本の申し出にわたしは面食らってしまった 事の発端は事務所の床に一匹のハエトリグモを見つけたことだ 絨毯の上をぴょんぴょん跳ねる黒い小さな生き物に気がつき 「あ 蜘蛛」と言ってから 「わたし苦手なの」と傍にいたT本に話しか…

1570

大皿が割れた 去年の冬に買ったばかりの大きな楕円形の花柄の皿が 食器棚からひとりでに滑り落ち 下にあった小鉢を巻き添えにして ばらばらになった 高校生のころ 学校のカフェテリアでグラスを落としたとき コップが自殺したなんてふざけたけど 本当に自然…

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テキーラ・ゴールド お煎茶 カミュ フレッシュ・オレンジジュース ジム・ビーム ペプシ・コーラ 恵比寿ビール あとは失念 特に印象が残っていない オレンジジュースが一番美味しかった

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四つん這いになって犯されているとき どこを見ているのが正解なのかわからない ときどき 手首を掴んで引っ張られたり 首を絞められたりする 大抵どのひとも同じようにするのは 情報元が重複してるせいじゃないだろうか 映像の中で顔がぼやけた女に似た声で喘…

1567

久々に見かけた人の髪が真っ白になっていた 前まで胡麻塩だったのに もう染めるのを辞めたのだろうか 悪いことが起きて 記者会見をすることになったら あのお爺さんのような顔で謝罪するのだろうか なんて意地の悪いことを想像してしまう でも わたしにした…