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雛罌粟の名を冠したマニキュアを塗った夜 緑輝く山奥にある修道院を夢に見た 私は黒い服を着た孤児で お父様が馬車に乗って迎えに来て下さるのを待っているけれど 本当は皆んな散り散りになってしまったのを知っているのだ 麓で戦争が起こるたびに村の男たちは ひとり またひとりと 旅立ち 戻ってくることは無かった そのなかに昔 一晩だけ愛しあったポーランド人の男がいた 私は子供なのに 彼は出会った時の姿で ゴツゴツとした大きな手で 私の髪や頬に触れ 黒曜石のような澄んだ瞳から 涙をこぼし その雫はダイヤモンドになったので 私は誰にも見つからないように 素早く飲み込んだ


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