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白い月が出てる 早く家に帰って眠りたいのに 何処へも行けやしない 回送電車はわたしを運んでくれないから 眠りたいのに 明るすぎる 滑らかに削正されたレールのうえを通り過ぎてゆく夜 わたしはまだ 走ることが出来るし 震える指でも 自分のからだひとつくらい 捕まえることが出来る もう何度も経験してきたことだから