255

もう この世にはいないひとの 日記が 彼女が迎えられなかった誕生日の日付で終わっていて ほんとうは まだ 何処かで生きているんじゃないだろうか まだ 再受験のために 数学に取り組んだり 病院へ行って 薬を処方してもらっているんじゃないだろうか そうであればいい けれど 彼女は ほんとうにもういない

震える手を包んでくれた 少女の手は 彼女の柔らかな手に似ていた