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忘れたはずの曲のリリックをまだ口ずさめる ひりひりした感覚 振動というよりも衝動だった わたしは髪に花を飾り 派手な着物にレースで出来たスカートを引き摺り 高下駄を履いて 同じような格好をした 友人たちと街を歩いた お金は無かったし 新しいCDや ブランド物の服だって欲しかったけれど それらが全てではなかったし 歌ったり 踊ったり とても楽しかった 16歳の頃 忘れていたはずのリリックを 今初めて理解して 戻ることは出来なくたっていい 胸の痛む感覚さえ思い出せるなら充分だ わたしはあの頃よりずっと早く走ることが出来る 上手に呼吸をするコツを掴んだから きっと大丈夫
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