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それからもう5年の月日が流れて 彼は大学を卒業し わたしは2度目の転職 だけど死んだあの子だけは 冷たい海の底 漂っては砂に混じり 溶けることもない

 
骨が食べたかった
あんたの骨が食べたかったんよ 細かく砕いてから 舐めて 舌の上でざらざらて味わってから 飲み込んで それから残りはプレーンヨーグルトに混ぜて わたしの手首切った血ぃ垂らしたら ほら 苺のソースみたいになるやん そうして食べたかったんやわ あんたほんまいけずで 頭おかしかった 死なんでもええのに ほんまにあほ 手も繋いでへん 一緒に詩を書いたの いっこも残ってへん なんでよ 最期に話したのなんでわたしやないの いやもう覚えてへんかったかもしれへんけど なぁほんま なにを考えとったの あんたがくれた京都のお寺のお守り 捨てられへんようになったやん わたしらふたりとも 酷い頭痛持ち 雨の日はいつもいや あんたの骨食べたら いつまでも わたしの意識がある限り ずっと一緒にいられる思たのに なぁ あんたの友達も骨みな海に撒いてしもたて やっぱりあほやわ 

それからまた5年の月日が流れて 彼は父親になり 私は3度目の結婚 あの子だけは空の彼方で  いつまでも ダイヤモンドみたいに 輝いてる 嘘みたいに