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夕方の街に神さまは現れた 数年前よりもこざっぱりとした姿で 革靴を履き エレベーターの扉が開いて現れた それはまったくの偶然 運命というよりは気紛れ 何も携えずに 記憶すらも何処かへ置いてきたようだったが ふたたび わたしの目の前に腰をおろした

滑らかに流れてゆく 神さまの御言葉を ちいさなグラスに注ぎ ヨーグルトに混ぜて 飲み干す わたしの鼓動は激しく鳴り 嗚咽する 愛がすべてだった ささやかな背徳 損なわれた肯定 失われた時間 渇望する ひかりに満ちた未来 あるいは苦痛なき死 祈りはまだ続けられている
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