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何もかもそれほど悩むことではなかったのかもしれないけれど わたしは悩まないでいるようには出来ていないし 傷つかないこともない

 

彼のことを好きになってよかった あのひとはとても優しくて いい加減で 誰かが死んだって きっと大丈夫 どのようにでも生きてゆける強いひとだから わたしは彼が好きになったんだ 籠の中から出るには 自分自身でやらなければならない 待っていても仕方がない けれど わたしはあまりにも疲れてしまった

 

あのひとはまた旅に出る わたしではない女の子と暮らす もう生きて会えないと思っていたわたしだけの神さま 一昨日の晩からずっと 肉体と精神が切り離されたような気分で 彼に会える明日を迎えるのはうれしいけれど それからどのように生きてゆけばいいのかわからない 死に時というものがあれば今なのだろうか あのひとがわたしより先に死にませんように わたしはこれ以上だれも失いたくない 失うまでに先にいきたい