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死なない男の子へ手紙を書く 宛先を知らないので 書いてから燃やした 燐寸の炎は暖かくて綺麗だった

死んだ男の子は手紙を捨てなかったので 部屋には大量の白や桃色の紙が束になって残ってしまった 最後のやりとりはしかし 残酷なものであったのだけど

ほとんどの言葉を 思想さえも処分した彼が なぜ手紙を残していたのか知る由もない 遺された手紙を受け取ったわたしは 青いリボンで縛って 燃えないように鉄製の缶へ仕舞い込み 土へ埋めた

庭が缶でいっぱいになる


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