451

傘を差さないのは そのような習慣のない暮らしが長かったせいであるが 多少の雨粒が髪を濡らすのは 心地よく 幼いころの楽しい記憶を呼び起こしてくれる 夏休み プールで泳いだあと 夕立のなかを走った 真っ直ぐな農道 まわりは青田 目の前に雷が落ちて 一瞬真っ白になったときの興奮 まだ雷を恐れていなかったのだ 子供のとき 怖かったのは暗闇とおばけだったから 友達に教えてもらった 知らない宗教の踊りを 歌いながら帰った昼下がり 目に見えるものすべては真実で 見えないものすら 本当のことだった

Remove all ads