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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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かけがえのない生命ですから ていねいに暮らさないのは 罪深いことなので 朝ごはんは新鮮な有機栽培の野菜ジュースと 無農薬のライ麦パンから始まります 下着はオーガニックコットンで出来ていますし なんならワンピースだってそうです 自動車は排気ガスを出すので 自転車に乗り お勤めへ出かけます お弁当には手作りサンドイッチを カフェインフリーの代用コーヒーと一緒に
お仕事はね そうね みんなが幸せに暮らせるようにすること なんといっても ていねいに暮らしていますから

そのように微笑んでから彼女は庭で育てたというハーブのお茶を 小さなケーキと一緒にテーブルに並べた 僕は吐く息のなかに昨夜のアルコールの匂いが残っているんじゃないかと ひどい居心地の悪さを感じながら いただきますと言ってお茶を飲んだ 明るい黄土色の熱い液体は苦くて 薄荷と青虫のような匂いがした 一刻も早くそこから立ち去り もう二度と来たくなかったし ていねいになんか暮らしてやるかと言いたかった でもどのように生きるかは自由なことだから 帰ってからハッパをキメた 正真正銘の無農薬 混ぜ物なしの純粋なものであることを 知っているのは僕だけでいいと思う
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