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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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はぐれないように 縄を掴んで歩く黄色い帽子を被った子供たちの行列 その脇に花束を抱えた老人

うちの向かいに葬儀会場が出来たのは何年前のことだったろうか 毎日 誰かが生まれては死ぬから 大きなシャッターが開き 中から黒塗りのリムジンが出てくる 今では鳴らされなくなったけれど あの長いクラクションが 実は少し好きだった

小春日和 夕方から雨が降るらしい 明日は彼と会うから多分雨だろう その前もそうだった 雲ひとつない空の何処から水滴が落ちてくるのだろう 子供たちは横断歩道の信号が青に変わるのを先生と一緒に待っている 老人は警備員に手を借りながら スロープを歩き葬儀会場へと入ってゆく ねぇ 束ねられた花 それが菊ではなくて 真っ赤な薔薇だったって信じてくれる?
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