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細かく裁断した紙屑を入れた半透明の袋の空気を抜いてから口を縛ろうとして 屑が飛ばないよう 両手で袋を押さえながら上に乗り 萎んでゆくそれを見ていたら いつか あの人の上に跨って頸を締めたことを思い出した それは快楽や性的嗜好のためではなく ただ 殺してしまいたかったから
殺してずっと傍に置いておきたかった 何処へも行かないで欲しくて わたしは頸を締めた 彼は眼を閉じて抵抗することもなく身を任せていたけれど 実際 手に力なんか入らなかった 結局 生きている彼が好きだったので 繋がったままで ずっと一緒にいられたら良かったのに

半透明の袋の口を縛り 回収箱へ捨てた まだ片付けないといけないことが沢山あるのだった