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探していた部屋は消滅していた
信じ難いことだが 隠し場所に鍵は無かったし 開けるべき扉も無かったのだ いつ? だれが? あまりに長い時が流れたとはいえ まるで初めから無かったかのように消えてしまうなんて

手元に残った古い手紙を 細かく破いてから言われた通りに窓から飛ばすと 吹雪と混じってじきにわからなくなった かじかんで赤い指先に紙で切れた小さな傷 春はまだ遠い
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