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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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館を出た日から義父の顔を一度も見ていない 戻ってきたら よく知らないけれど何処かへ行ってしまったようだ することもないので 夫の拳銃と靴を磨いていたが それもすべてぴかぴかになってしまった だからもう何もすることがない 上着には蒸気アイロンがかけられ 肩の金モールはブラシで整えられ ワイシャツには糊がついている ひと休みしようとキャビネットを開けたら 空になったデキャンタと 汚れたままのグラスが載った銀のトレイが置かれていて嫌な気分になったので 窓を開けて 二階から全部投げ飛ばしてやった 両手でかなり勢いよくやったつもりだったけど テラスの下の植え込みに落ちたようで何も割れる音は聞こえなかった

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