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氷砂糖に漬けた青梅はゆるやかに成熟し 透明な液体のなかに浮かんでいる 溶けきっていない氷砂糖は白い輪郭を持ち沈み 揺らすと砂時計のようにさらさらと動くのが楽しいのか 彼女は瓶を抱えながら何度も揺らして遊んだ

 

子供の頃の思い出に梅酒はない 親戚の誰かが漬けたのをもらってこっそり飲んだこともない 庭の隅に実った梅は全て干されてしまったから

おばあちゃんがつくる梅干しは塩辛くてとても食べられなかった 冬にそれを焼いてお茶に入れたのを飲むのは好きだったけれど 塩の結晶が紫蘇と同じくらいついてきらきらしていたのだ

梅酒は本当に身近になかった だからわたしも梅酒は漬けない 子供も飲めるようシロップにした

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