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背の高いダンディなシニア という言葉を体現したような人だった 半年ほど一緒に働き 退職のときには色紙も書いたのに 名前はもはや思い出せない 妻とは早くに死に別れたと話していた しかし浮いた話を聞いたことがない 黒い革靴はいつでも必ずぴかぴかに磨かれ 勤務中に着ていた白衣は実直な彼自身の仕事ぶりを表すかのように 折り目正しく白さが際立っていたということをふと思い出した 消毒液の匂い 指先が乾く

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