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あのひとのことを段々思い出せなくなる 笑ったときの糸みたいな目とか 日焼けした逞しく腕とか 大好きだったのに どんなだったか言葉でしか覚えていない 忘れることと思い出せないことは似ていて でも思い出せないほうが悲しい そうして思い出せたことは ときに胸をずきずきと痛ませるのだった