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通りすぎた季節と降りたことのない停車場 話したことがなかったひとの訃報

 

午後 電話がかかってきて一方的に予定を変更されたので もう無かったことにしたいし そうするつもり

 

訪れて 結局 入らなかった場所をもうほとんど忘れてしまった 青梅街道沿いの住宅街で 地下鉄の駅からそれほど離れていなかったと思う その近くにある喫茶店では 品の良い格好をした家族連れがサンドウィッチ・セットを食べていて ガラス一枚で隔てられた喫煙ルームの方を疎ましげに時折見ていた というのも母親らしき若い女と一服するわたしの目が何度かあったからだ あの店の名前はなんと言っただろう どこにでもある系列店だったと思う