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春のぬかるんだ土が冷たい 雲雀はまだ歌わない 鳶はこのところよく飛んでいる 農夫たちが畑を耕し始めたからだろう 果てしなく広がる集団農場のうえに青空 冷たい風が吹きつけ それでも太陽の輝きが嬉しくて歩きつづけた

 

身体以外なにも失うものがなかったあの頃 若さと健康だけを頼りに 愛があれば暮らしてゆけると信じていた 寒さと貧しさが錨のように沈み込んでいた日々に戻りたいとは思わない

 

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