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ニルゲンドヴォの近くで暮らしていた老女がニルヴァーナへ旅立ったとの報せ

 

大戦の前に生まれ きな臭い青春時代を送ることを余儀なくされたが 最果ての村ではもとより貧しく 慎ましく暮らさざるをえなかった その世代の人々にはよくある通り 親が決めた相手と結婚して三男五女を授かり 魔女としては才能が発揮されなかったものの 母としては立派に子供たちを育てあげ 彼女自身は最晩年に養老院へ入り 健やかに暮らしていたが体力は衰え つい先日 ドクトルが胃瘻を辞め 自然のままニルヴァーナへ戻ることを提案し 本人も子供たちもみな納得したという

 

そういうわけで 眠るように逝った母は とても安らかだったと叔母は話した