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アゴムをいつの間にか失くしてしまった 大体わかっている 電車の中か駅で落としたのだ 見つかることはないだろう 普通の という表現は好ましくないけれど 普通の黒いつなぎ目がないヘアゴムだった

夏を過ごした男は仰向けになりわたしを腰の辺りで跨らせると その下から髪によく触れた 俯くと顔にかかるので纏めようとしたら ヘアゴムをとりあげ自分の手首につけて そのままにしてほしいと言ったのを今だに覚えている