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砂浜と海の狭間で波に揺られていたら なんだか死んでしまったような気がして 空と水の色が溶けて泡立ち入道雲になってゆくのが見えた 畑には向日葵が並んで咲いている うちの玄関に飾ってあるのと同じ八重咲きの黄色い小ぶりの花 100年以上前に有名な阿蘭陀の画家が描いた絵の花に似た種類だといっていたっけ 鴎が飛んでいる 藤壺がびっしりついた波止場には錆びた舟が停留しているが 動かされているのか知らない 去年も 一昨年も 同じ場所にあるのを覚えているのは 舟に書かれた番号が祖父の生まれ年と同じだからなのだけど ここでは余所者なので何の関係はないのだった