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普段から掃除をするのは好きなので 今日は苦手な片付けをした かなりの数の書類を廃棄して それでもまだ置き場所が足りない もう一生使うことのない 二度と目を通すこともない書類の束に住まいを脅かされるなんてうんざりする 期限の切れた案内 古い広告 入学予定のない学校の資料 随分若い頃の写真が貼られた履歴書 黄ばんだレポート どうして残しておいたんだろう フランス土産の四角いクッキー缶を開けるとボーイフレンドたちがくれた キラキラした小さな石がついたブローチ 外国煙草の空箱 花かごが刺繍された白いハンカチーフ 書き味は悪いけれど綺麗なペン 頭痛除けの御守り それからラブレター きっといつまでも捨てられないだろう もう一生 使うこともなく 二度と彼らに会うこともないとしても


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2018年も嘘日記『ヴォトカ流れる河のほとりで』をご覧いただき、有難うございました。
何が真実で何が虚構であるのかや、わたしがどのような人間なのか推測するよりも、
日々の泡が弾けて消える様を楽しんで頂ければ幸いです。

それでは皆さま、良いお年を。

水銀