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仔犬がいなくなる夢をみた ほんとうは仔犬など飼っていないし そもそも生き物を飼ったことがないので どうしたら良いかわからず というか いなくなったなぁと思いながら ニュースを見ていた
たぶん警察に届けるべきなのだ 仔犬がいなくなりました 白くてふわふわした毛の綿あめみたいな犬です 種類はわかりません 人を噛んだり襲うようなことはありません だってとても小さいから きっと何処かに隠れていると思います とか探すべきだったのだ
目が覚めてわたしは恋人に電話をかけた 「飼っていた仔犬がいなくなったの」彼は眠そうな声で「君んちのマンションはペット禁止だったんじゃないの」と答えた そうだったかもしれない
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誰のことも忘れていくのだ 嘘も本当もないまぜにして 傷は出来るだけ浅くなるように 痕が残らないようにしなくてはいけない
なにが最善であるか 犯した罪を償うため最良の方法を彼は苦心して選び出す もはや手遅れである事実を目の当たりにして それでも生きていかねばならないなら どうにか
わたしは彼らの平穏を望む