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いつまであの人の想い出に浸っているのだろう 昼下がりの部屋 窓を開けると外から柔らかな空色のジェリーが入り込み 布団に包まったままのわたしの口許にまで来て 溺れそうになる そのたびにわたしだけの神さまの御名をちいさく叫び 透き通る南国の海を瞼の裏に描く

光は拡散しない どの路地も暗いままで 約束もなにも はじめから無かったのだった 身体以外なにも