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電話が鳴り 布団のなかで受話器を取った 脚に保湿クリームを塗ったばかりの 少し湿った指先で 髪を首筋にかけながら 彼の声を聴いたのは 久しぶりのことだった 窓の外には 工具を背負った夜の労働者たちが列をなして歩いている 雪はもう積もらないだろうが とても寒く わたしは話しながら何度かヴォトカを飲んだ

次第に微睡んでゆく脳裏に浮かぶ いつかの 東京の夜景 それは確か 孤独に似ていた

明け方 目が醒めてしまうのは 寂しさゆえなのだろうか 喉を灼くような アルコールだけがやさしい なんて嘘
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