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ヴォトカ流れる河のほとりで

Das Tagebuch der Lily Mercury

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「一体幾つまで生きたら 満足したと思えるのかしら」と 彼女はキヌアのサラダをスプーンでさらえながら溜め息をついた 「女性の平均寿命って85歳くらいでしたっけ」わたしは素早くスマホで検索をかける「あった 87.05歳です」「あと50年じゃない!やーね まだまだ足りないわ」

わたしはなにも答えなかった むしろ 答えられなかった あと50年以上も生きなければならないとしたら 確かな計画を立て 工程どおりに生きなければならない 安定した職業に就いた人と結婚し 健やかな子供を何人か産み 彼らが幸せに暮らせるように 存分な愛情と潤沢な資金をもって 育て上げなければならない 自身や夫が怪我や病に倒れないよう 注意して ああ 最期は成人した子供やたくさんの孫たちに看取られ 寿命を全うしないといけない なんて 考えただけでもうんざりする

痛いのも苦しいのも嫌だけど どうして死ぬことを選べないんだろう あと50年かけても きっと彼女は満足しない そういうひとだから いつも

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