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もう〆切が無いから急いで帰らなくてもいい。それはつまりあまぶんが終わってしまったということ。これが尼ロス。

 

去る8/27の日曜日、尼崎文学フリマ・あまぶんへ参加してきました。実は出店者としてこういったイベントに参加したのは初めてのことで、そもそもひとりで冊子を使ったこともなく、原稿をWordでせっせと組み、用紙を求めて文具店を巡り、印刷屋さんで出力・ホチキスで製本という流れの段取りも掴めず、前日夜には最後の頼みの綱であった自宅プリンタが故障するという飛んだ目に遭いましたが、色々と良い経験になったと思います。

遅刻してあまり長くいられなかったこと、冊子が結局8部しか用意出来なかったことなど反省して、次また参加することがあれば前日夜は早く寝て明日に備えるだけに出来るようにします…

 

お会い出来た方、冊子をお買い上げ頂いた方、ありがとうございました。そして参加された皆さま、お疲れさまでした。

 

 

 

『♒︎』はご存知のとおり水瓶座の記号です。検索をかけると、ヴォトカではなく清涼飲料水のアクエリアスがヒットします。

そして、フラミンゴ版の表紙写真は名古屋の東山動物園で撮影したもので、奥付のイラストは10年近くまえに詩集を出そうと試みた際に、友人の故・馬場快人くんが描いてくれたものです。やっと世に出せたよ、遅くなったけどありがとう。

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美容院の予約をすること 家計簿をつけること 手紙を送ること それから A市へゆくための交通手段 (最も安全で迅速に かつ安価な方法)を調べること 寒くなる前に行かなければならない なにせ首都より北へ行ったことがないから どれくらい寒いか想像もつかないし 雪が降るかもしれない 人々がどのような言葉を話しているかも知らないのだ

わたしはその街へひとりで行かなければならない 想い人を訪れるときは必ずそのようにしている そのひとが生きていてもいなくても

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夏の弔いに似た残暑の陽射しが照り続くけれど 終わりの日は近いので もう綿の木は育たずに 枯れてその実を爆ぜさせるだけ

 

いまから10年以上まえのことになるが 私たち家族が夏中乗り回していたボートは 「キイロ4号」という名前がついていた 隣に住んでいた老夫婦から譲り受けた小さいけれど ちゃんと動くモーターがついたすてきな小舟で 湖のなかに浮かぶ島から島 また島へと 走りまわり 水平線の端で空を燃やす太陽が やがて少しずつ沈んでいくのに気づかないようにしていた

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20年来の友人がくれたルージュは 信じられないほど赤くて 一体どんな顔に塗るんだろうと思ったけれど 彼女は 貴女につけてほしいのと言った

 

思いのほか馴染んだ真っ赤なルージュは はじめ 娼婦のような妖艶さが感じられたのに ほんとうは気の強いマドモアゼルの赤だった 強すぎたくらいに

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新しい想い出を予約して 薄くて折れやすい紙を買った 靴は足に合わずに痛む

 

暇を潰すのに忙しいから 近頃すこしも眠れやしない ただの遊びだとか本気だとか こちらの気持ちも知らないで どうしてそんなに自信があるんだろう

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長いエスカレーターをくだりながら 彼の頬に唇をつけると 日焼けした肌に口紅のあと ザマアミロなんて思わない そんなことをしても仕方ないから ごめんねと笑いながらハンカチで拭った

ジムノペディの旋律がふいに流れて もういない人 永遠に不在である青年の姿が浮かんだ わたしたちは海へ行くべきだった 骨になるまえに そうするべきだったと思う

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打たなければ博打は勝てない 卵を割らずにオムレツが作れないように リスクをいかに低くするかが問題 しくじりが傷にならないなら なんぼでも打てばいい 弾がなくなるのと 制限時間がくるのと どちらが先に来るかもうそろそろ見えてきているならば 迷うこともない