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予定していたことの半分しか出来ないのは昔からなので 半分出来たら良しとしておく
- 作者: 高畑勲
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/01/05
- メディア: 文庫
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何度読んでも泣いてしまう うちの近所でもたまに轢かれたのを見かける 可愛いから可哀想というのは馬鹿げているけれど そうでしかない 玉砕のシーンは特に胸が痛くなる
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雪虫が飛んでいた
急に寒くなったので 身体を温めるものを コニャックでもひっかけようとバーに行き ふいにJのことを思い出した 彼とは東欧の地方都市であるOから鉄道で工業都市Kを経由し 首都Wを目指したときに車内で偶然知り合った男だった 年齢も職業も教えてもらったけれど正しいかどうかなど知らないし どうでもよかった 終点にて宿をとり わたしたちは「星の港」と呼ばれる酒場で共に盃を交わし 楽しく過ごしたというそれだけのことだ
映画『灰とダイヤモンド』を観たのはそのあとだった なんとなくJと主人公の男が似ている気がして あの夜飲んだのはヴォトカだったのに コニャックを飲むシーンが頭に残ってしまい いや 本当のところコニャックを飲んでいたのか定かではないのだけど しばしば懐かしく思い出すのだった 寒くなってきた頃には
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どこで暮らそうとも近くには水辺があった もしくは 水辺の近くで生活が営まれていた バプチャやマトカの故郷は貧しい農村で つまり彼女たちのやり方を見て育ったわたしもまた その貧しさがあたりまえのことであったから 緑かがやく森さえ信じて なにも知らないままでいれば良かったのだけど