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ニルゲンドヴォに雪が積もって ホフヌンクにも雪が降った ストッキングも タイツも履かない脚がハイヒールで 雪のうえに 印をつけてゆく 綿あめみたいに白くてふわふわの雪が凍って固くなる ふわふわ がちがち 橙色の街頭で照らされた雪道はオレンジ色に光って 雪雲はピンク色 黒いハイヒールから伸びた白い脚が かじかんで赤くなっていく 寒いでしょう 冷えますものねぇ 遠くで鐘の音 よく響くのね今夜は

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起きたときから頭がずきずきと痛んでいる 風邪ではないけど こういう痛みが年に数回あって 恐らく疲れているのだろう 気圧のせいかと思っていたけれど 天気が良い日でも起こるので仕方ない
痛いのも苦しいのも大嫌いだ 自らを傷つけることは別に快感を得るための行為ではないとは当たり前だけど そう思わない人もいる ひどいやつらを皆殺しに出来ない世の中で あの子が無事でありますように

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意味もなく わけもなく 流れてゆくだけの時間 お湯でぬるくなったアルコールの匂いは嫌いだ きりりと冷えた エタノールの匂いが良い グラスが気化熱で白く曇るほど冷たいのに喉が焼けるような そういう激しさが愛しい 塩を舐めてからショットを流し込み 檸檬を囓る流儀を守って気持ちよくなりたいし あなたにもその味を教えたいと思う まだ見知らぬあなたのこと わたしを知らないあなたに

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朝 出かけるのにこっそりと寝床を離れたら 一緒に寝ていた妹が「何処へいくの いかないで」と呼び止めてきたけれど 結局彼女は布団から抜け出せなかった まだ暗くて寒かったから わたしが必ず帰ってくることを知っているから もぞもぞして少し泣くような声を立てたあとまた眠ってしまった
帰りに大きなメレンゲを買って帰ろう そうしてふたりで一緒に割りながら食べる

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今朝見た夢に出てきた男の子は 子供の頃のY君だと思っていたけど 僕が大人になったら結婚しようと言ってくれているK君にも似ていたし 生きていたときより死んでからの年が長くなってしまったR君にも似ていた ぐりぐり坊主頭の一重まぶたで ほっぺが赤くてとても可愛くて 泣き虫で やんちゃで 愛しかった 自分が子供を産むなんて考えられないけれど それでも可愛かった

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夜が迫ってくる 白い雪で塗りつぶされた街を黒く染めかえる 曇天の日 空は燃えることもなく静かに灰色になり 家々の窓から漏れる灯りだけが ぼんやりと 遠くに見えている よく光る星のように はるか彼方で

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はやいもので一週間後です

2019年2月1日(金)
大阪関目 FLEX大阪市城東区関目5-15-5)
Open 19:30/Start 20:00 charge¥1,000(1D付)

 ポエトリーリーディングTOY BOX vol.30

[出演]
池上宣久
カボタス(佐々本果歩+ばるる。。)
水銀
タムラアスカ
待子あかね
(敬称略・五十音順)

  詩の朗読をさせていただきます

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 今後もツイキャスYouTubeなどで朗読する予定はございませんので、ご興味のある方はぜひ、お越しいただけたらと思います。開演は20時から。お待ちしております。

 

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板書を写したノートを見た先生が 「いいねこれ 売れるよ」と言ったので 売れたら先生にも何パーセントか上納しなきゃなぁと思った 売らないけど
売れるよ とは(顔と身体以外)描いたり作ったりするもので たまに言われて そのたびにとても嬉しくなるけど 対価をつけるのが難しいとか 売り方がわからないとかなんとか言って 結局試すことがない 売ったら買ってくれますか?なんて絶対聞きたくないし 売れるものしか作りたくはない ところで学生時代 しょっちゅう私のノートを写していた女からは 昼ごはんの一度くらいはご馳走してもらっても良かったと今更ながらに思う

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今夜は欠け始めたグレープフルーツムーン うちにあるのは黄緑色の実で 少し寒いのと皮を剥くのが億劫でまだ手付かずのまま
仕事で遅くなったとき嫌なのは 夕食の時間が遅くなることだけ それ以外は別にいい わたしはちいさな穴から銃口を少しだけ突き出し 木々の間からシャッテンタイルがぴょこりと顔を出すのをじっと待ち続けた あと3匹が今日のノルマというところですっかり見えなくなってしまったので 残業するに至ったのだ 隣の男は腕が立つのをいいことにぺちゃぺちゃとお喋りをしながら 時折シャッテンタイルを入れたガラス製の一斗缶を足でこつくので煩いので 苛々して撃ち殺しそうになったとき ちょうど丸々と太ったシャッテンタイルが3匹やってきたので すかさず撃鉄を起こして仕留めてやった 全部まぼろしだったような気もする