2016-08-16 549 Fiktion 雨の都を 夜の街を 東へと歩いた 河は増水して濁流が闇の中で白っぽく濁っている 舟を漕ぐものは誰もいない 橋の上で見回りをしていた警官に訊ねたところ 見えなかったものの 火は無事に灯されたらしい その事実を知れて良かった 空からは見えただろう 精霊もまた 戻っていったのだろう さようなら また来年 さようなら 次の夏が来るまで 愛しい貴女 焦らなくたっていいし 泣かなくたっていいのよ わたしはきっと ここに来るから