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雨の庭に金木犀が香る朝 今年も花を摘まなかった

 

あのひとは知らない国で 今でもいい加減に生きているのだろうか 誰もあなたを知らない国へ行ってしまって そこでも知られたひとになったなら また何処かへ去ってゆくのだろうか 大して深くもない 些細な傷をあちこちに遺しながら 次はどの街の女と寝るのだろう それはもう時代遅れだと気づきながら あのひとは他にどうしようもないのか