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物事の忘れかた 秋は足音を無くして 木枯らしに吹かれるがまま失踪した 眼を開けているのがやっとの眠気に抗いながら この先もう死んだひとには会うことがないのだと 当たり前のことを考える でも本当にそうなのかな

薄い膜一枚で隔たれた肉体の脆弱性 決して解け合うことがない世界で 互いの理想だけが暴力的なほど激しく精神を蝕んでゆく 不条理が尋常になった夜が明けるとき あなたを見つけ出せるだろうか 正しいことなんか知らないのに