2017-12-01 1021 Fiktion 引き裂かれた白い腹から溢れ出す魚卵 また魚卵 艶々と滑りながらまな板のうえにひろがってゆく 魚はもう動いてはいない 乾いた唇から血が滲むのは十二月 あのひとの前歯は少しだけ出ているから 笑うと唇が切れて白い歯に血がつくのを わたしは教えなかった 別にそれで嫌いになんかならなかったし 別に今も嫌いじゃない 好きでもないけど 刈り取られた畑を焼くときの煙にはなりたくない